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さおりはすぐに省吾の傍へ行き耳を近づける。 すると省吾がなにやらごにょごにょとさおりに説明した。 「えーっ! またそんな思い切った事を!」 「ハハッ、我ながらいい案だろう?」 「いい案ではあるけれど、大丈夫なのー?」 「問題ないだろう? だって有能な秘書がやっと見つかったんだぞ! 麻生さんのお陰で俺のスケジュールにどんだけ余裕が出来たと思ってる? あんな有能な秘書を手放す気なんてさらさらないし、何かあって辞められても困る! だからなんとしても守り抜かないと!」 「フフッ、省吾は奈緒ちゃんが相当お気に入りのようね! でもね、私達にとっても奈緒ちゃんは必要な存在なのよ! なんたって、あんたの世話に取られる時間がなくなったんだからね~! そりゃあもう感謝しかないわ! まあなかなか面白そうだからお手並み拝見といきますか! じゃあそろそろ戻るわね!」 さおりは軽く手を挙げてから、部屋を出て行った。 その日、秘書室の三人は定時で仕事を終えると、飲みに行った。 会社を出る際は、奈緒の両脇を二人がガッチリガードしながら、 ビルの外へ連れ出した。 少しでも変な視線が飛んで来ると、さおりと恵子が睨み返す。 それに震えあがった社員は、 奈緒の方を見ないようにして、そそくさと仕事へ戻っていく。 その夜三人は、美味しい酒や食事と共に、 男談議について延々と盛り上がった。 三人の間で熱い議論が飛び交う。 「私達、なんだか仕事よりも熱心だよね...」 と恵子が言うと、思わず三人は声を出して笑った。 そうして楽しい仲間達との週末の夜は、 あっという間に過ぎていった。
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