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騒めくフロア内には、名取美沙の姿もあった。
美沙は杉田が言った、
『噂の出所を調査中」
という言葉を聞いて、青ざめた表情をしていた。
その時社員の一人が叫んだ。
「対処っていうのは、また例の『島流し』ですかー?」
それを聞いた杉田は、苦笑いをしながら、
「まあそうなりますね。うちの会社は社員同士の信頼関係やコミュニケーションを一番大事にしています。だからチームの輪を乱す人がいたら、即他所へ行って貰います。これがうちのやり方です。この事は、今年入った新人さん達も、よーく覚えていて下さいね!」
と言った。
その言葉を聞いた新入社員達は、慌てて頷く。
そして杉田は続けた。
「こんなくだらない調査に時間を割くのは、はっきり言って無駄です! だから、呼び出しを受けた人は速やかに真実を話して下さい。本来ならば、噂を広めた人も同罪ですが、もしご協力いただければ今回は見逃しますので! よろしくお願いします。以上!」
杉田は話を終えるとマイクのスイッチを切ろうとした。
すると省吾が杉田のマイクを受け取り話し始める。
「ちょっと待って! あと少しだけ! 今杉田君が言ったように、信憑性のない噂を広めて誰かが一方的に損害を被るような状況を、我が社は決して許しません! 数年前にも同じような問題が発生しましたが、その時噂を流した社員は、即横浜の倉庫管理会社に出向してもらいました。今回も悪意ある行動と分かれば、当然そうなります。その事を充分に認識しておいて下さい! 君達はこれからの未来を背負っていく有能な人材なんだ。だからどうか誇りとプライドを持って常に行動して下さい!」
省吾は社員一人一人の顔を見つめながら、語りかけるように言った。
そして、一度奈緒の事をチラッと見てからまた話しを続けた。
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