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その時、名取美沙の顔が般若のような表情に変わる。
手をギュッと握りしめた美沙は怒りを露わにすると、
突然くるりと後ろを向いて、その場から立ち去った。
杉田は慌てて省吾からマイクを奪うと、
「以上、解散っ! では仕事に戻って下さーい!」
「「ういーーーーっすっ!」」
若者達は返事をすると、ぞろぞろと部屋から出て行った。
前に並んだ役員達は、驚いた様子で省吾と奈緒の顔を交互に見る。
中でも公平が一番驚いている様子だった。
公平はすぐに省吾に言った。
「おい省吾っ! どういう事だよっ!」
「後で説明するから、ちょっと待ってろ!」
省吾は公平にそう言うと、奈緒の腕を掴んで廊下へ出た。
そしてすぐに階段へと向かう。
奈緒は省吾に引っ張られながらヨロヨロとついて行く。
人気のない階段まで行くと、漸く奈緒が言葉を発した。
「えっと...これって?」
「ごめん、驚かせちゃったね。まあ簡潔に言うと、俺達は今日から恋人同士だ!」
「えっ? ど、どうして? なんでですか?」
奈緒は驚きの声を上げる。
そこで省吾は歩みを止めると、奈緒の方を向いて言った。
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