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「それにしても『麻生さん』ていう呼び方は堅過ぎだよね...悪いけど、今日から『奈緒』って呼ばせてもらうね」
「えっ?...あ...?」
奈緒が戸惑っていると、そんな事にはお構いなしに省吾が言った。
「俺の呼び方は、仕事中は今まで通り『深山さん』でいいから。ただ会社の外では『省吾』か『省吾さん』でよろしく! じゃ、詳細はまた後日、ゆっくり食事でもしながら話しましょう!」
省吾はそう言うと、秘書室のドアの前で奈緒の腕を離し、
奥の役員室へ戻って行った。
奈緒は口をポカンと開けたまま、しばらくその場に佇んでいた。
すると、さおりと恵子が戻って来て奈緒に声をかけた。
「奈緒ちゃん、大丈夫だった?」
「とんでもない事になっちゃったわね! あらら奈緒ちゃんが放心状態だわ!」
二人はそう言うと、奈緒を両脇から抱えて、
秘書室へと連れて行った。
三人が秘書室内に姿を消すと、
今度は廊下を、公平がもの凄いスピードで歩いて来た。
公平は省吾の部屋まで行くと、
ノックもせずにいきなり部屋へ入った。
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