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その頃、秘書室にはコーヒーの香りが漂っていた。 「奈緒ちゃん、とりあえずもう一杯飲んで落ち着こう!」 さおりはそう言うと、三人のカップにコーヒーを注いで、 丸テーブルまで持って来てくれた。 三人は椅子に座り、とりあえずコーヒーを飲む。 飲みながら、恵子が言った。 「あれって、深山さんの思いつきなんですか?」 「多分...私も突然だったのでびっくりしてしまって...」 「でも、名案かもしれないわね! CEOの恋人ってなると、誰も嫌がらせは出来ないだろうし...」 さおりがしみじみそう言うと、恵子が再び言った。 「確かにそうですよね~! 誰も手出しは出来ない!」 「でもね、奈緒ちゃん、嫌だったらはっきりそう伝えた方がいいわよ!」 さおりは少し心配そうに言う。 「ありがとうございます。でも色々と考えてみたのですが、そういうのもアリかなって......」 「そうなの? でも今後もし好きな人が出来たり、奈緒ちゃんに好意を寄せる男の人が現れたら困らない?」 「そうですよ! これからどんな出会いがあるか分からないし、まだまだ奈緒ちゃんはこれからなんですから!」 さおりに続いて恵子も言った。
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