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「それは心配ないです。私、もう恋愛する気はないので...もう懲りちゃいましたから!」 奈緒はそう言って淋しそうに笑う。 それを聞いた二人は一瞬押し黙る。 しかしすぐに恵子が言った。 「今はそうでも、いずれ気持ちが変化するかもしれないわよ?」 「その時になったら、また考えます」 奈緒がせいせいした様子できっぱりと言ったので、 二人はもうそれ以上何も言わなかった。 そんな二人に奈緒が言う。 「それに、深山さんにとっても、今回の件は都合がいいらしいんです」 「えっ? それはどういう意味?」 恵子がすかさず聞く。 「ほら、女性からよく電話がかかってくるじゃないですか?」 奈緒がニッコリして言うと、 さおりがピンときたようで言った。 「あーあれかぁ...。深山さんって取引先や仕事関係で出会った女性達から、すぐに狙われるもんねぇ...。たまにプライベート関係の女性からも電話が来るし...。知ってる? 深山さんてさぁ...自分に気がありそうな女性には、絶対に携帯の番号を教えないのよ。昔っからそう! で、結局彼から連絡が来なくて待ちくたびれた女達が、しびれを切らして会社まで電話してくるって訳! その面倒な対処を、いっつも私達がやらされるんだもんねぇ!」
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