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奈緒の予測では、恋人同士として振る舞うには、
あまりにも相手の事を知らなさすぎる。
だから食事でもしながら、親睦を深めようといった感じなのだろうか?
『なんかお見合いみたい...』
奈緒は思わず微笑むと、また仕事へ戻った。
その日、奈緒は少しだけ残業をした。
さおりと恵子はもう既に退社していたので、
仕事を終えてから、一人で秘書室を後にした。
今朝までは、社内をビクビクしながら歩いていた。
しかし、普通に歩いても問題がない。
朝の朝礼の効果か、
今まで奈緒に向けられていた冷たい視線は、
いつの間にか羨望の眼差しに変わっていた。
そこにははっきりと、
『深山省吾の恋人』
としての地位が確立されているような気がした。
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