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再びエレベーターが動き出すと、井上が言った。
「噂の標的になって大変だったっすねぇ...」
「あ、はい...朝はお騒がせしました」
「別に迷惑はしていないっすよ。俺も昔同じ目に合ったんで...」
「えっ?」
「朝礼で言ってたでしょ? 数年前にも同じような事があったって...」
「あっ、ああ! あれは井上さんの事だったんですね」
「そうです。俺も当時は入社したてで、いきなりで参ったっすよ! あれっすね、『出る釘は打たれる』ってやつで...」
そこで奈緒はクスッと笑った。
「『出る杭は...』ですね!」
すると井上は間違いに気付いて思わず頭を掻く。
「アハハッ、俺、理数系は強いんっすけど、国語はてんでダメで...」
「フフッ、大丈夫ですよ。私もたまに間違えます! それに井上さんは技術職でしょう? 凄いです!」
「いえいえ単にオタクをしてたら詳しくなったってだけで...」
「それでも凄いです!」
奈緒の言葉に井上は少し照れたような顔をした。
そしてまた言った。
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