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そして次の日になった。
奈緒は朝9時、いつものように省吾の部屋へコーヒーを持って行き、
スケジュールや昨日の申し送りをする。
それを聞き終わると、省吾は奈緒に聞いた。
「もしかして昨日部屋を片付けてくれた?」
「あ、はい。少し時間が出来たので...」
「そっか、ありがとう! 綺麗になったらなんか空気まで澄んでいて、気持ちがいいよ」
「それなら良かったです」
「それはそうと、午後からの現地視察には奈緒も一緒に行ってみないか? 昭和急便の物流センターなんだけど...」
その時奈緒は、いきなり呼び捨てにされたのでドキッとした。
昨日は省吾が一日中外に出ていたので、
名前で呼ばれるのはこの日が初めてだった。
奈緒は一瞬頬を赤く染めたが、
すぐに平静を装い返事をする。
「物流センターですか?」
「そう...今度うちと昭和急便が提携する事になったんだ...その視察なんだけれど...」
「面白そうですね。行ってみたいです!」
「それなら一緒に行こう! 入社してからもうすぐ二ヶ月だろう? たまには外出して息抜きしないとな! 三時にここを出て視察をした後、そのまま食事に行こう! だから帰り支度をしておいて!」
「承知しました」
奈緒はそう言うと、一礼をしてから部屋を出た。
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