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奈緒が部屋へ戻ると、
「なんかデートみたいー!」
恵子が冷やかす。
「ほんとほんと、奈緒ちゃんってオレンジ系似合うよねぇ。なんかその柔らかい雰囲気がまさにデートっていう感じ!」
さおりもニコニコしながら茶化す。
「あのぉ、行き先は昭和急便なんですけれどぉ...そんなデートってありますぅ?」
奈緒が口を尖らせて言うと、二人がキャッキャと笑う。
奈緒も最近は、冗談を返せるくらいになっていた。
そして三時ちょうどになると、秘書室に省吾が入って来た。
省吾はさおりと恵子に向かって言う。
「お二人さん、悪いけれど奈緒を借りるよ!」
省吾の言葉を聞いた二人は、
「「キャーッ! 『奈緒』だってぇぇぇ~~~!」」
と叫んだ!
「からかっても俺は動じないぞ...フフンッ!」
省吾が挑発的にニヤリと笑うと、
「「なんだーっ! つまんなーいっ!」」
二人はそう言ってふてくされたような顔をした。
しかし肝心の奈緒だけは、一人で頬を赤く染めている。
「じゃ、行こうか?」
「はい」
二人が部屋を出る際に、さおりが言った。
「深山さーん、折角だから帰りに二人でデートでもしていらっしゃいよー!」
すると恵子も、
「二人で美味しい物でも食べに行ったらどうですかー?」
と笑顔で言う。
すると省吾は、
「そのつもりでござんす!」
とおどけて言ったので、二人は声を出して笑った。
「奈緒ちゃん、楽しんで来てねー!」
「行ってらっしゃーい!」
「行って来ます! 後の事、よろしくお願いいたします」
奈緒は二人に向かって軽く会釈をしてから、
省吾と共に秘書室を後にした。
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