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次のブースへ行くと、 そこはメール便など比較的小さな荷物を区分するコーナーだった。 エプロンをつけた女性従業員達が、 せわしなく荷物を仕分けている。 いくつもの大きなコンテナボックスにうず高く積み上げられた メール便は、かなりの量だった。 今日中に仕分けが終わるのだろうかというくらい、膨大な量だ。 奈緒は、これらが一つ一つ手作業で分別されている事を 知らなかった。 てっきり全て機械で分別しているのだと思っていた。 どう見ても、これらの仕分けが今日中に終わるとは思えない。 パート従業員は主に主婦層で、 よく見ると手に湿布を貼り、痛む手で仕事を続けている人もいるようだ。 人手不足の波は、この物流業界でも著しい。 そして今後それがもっと加速していくのだ。 そんな行き詰まった物流会社に、これから省吾達が開発したAI主導の物流システムが導入される。 そして、フルオートメーションシステムへと移行していくのだ。 全ての作業が機械化されれば、スピードも速まるし、 人件費もかなり抑えられるだろう。 奈緒はこの物流センターへ来てみて、 自分の会社が今何をやろうとしているのかを、 具体的に知る事が出来た。 『来てよかった...』 この視察は、奈緒にとってとても良い経験になった。
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