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センター内の見学を全て終えた二人は、事務所へ案内された。 事務所の片隅にあるソファーへ座ると、 女性社員がお茶を持って来てくれた。 「ありがとうございます」 奈緒は女性に向かって軽く会釈をする。 省吾と奈緒の向かいには、西田親子が座っている。 そこで省吾と西田がこれからの日程についての話を始めた。 奈緒も隣から二人の話を聞いていたが、 玲香はその話には全く興味がないようで、 少し手持無沙汰な様子だった。 あまりにも退屈だったのだろう。 とうとう、玲香が身を乗り出して来て奈緒に話しかけた。 「深山さんの秘書はいつからですか?」 「あ、はい...二ヶ月ほど前からですね」 「あら、じゃあまだ、なったばかりなのね!」 「はい...」 奈緒は細心の注意を払い、 当たり触りのないように受け答えをする。 取引先の社長令嬢を怒らせては大変だ。 そこは慎重に対応する。
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