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娘が立ち去ると、西田が言った。 「いやぁ~、あれにはほとほと手を焼いていましてねぇ...お見合いさせてもことごとく相手にケチをつけるし、じゃあどんな男がいいんだって聞くと、深山さんみたいな人がいいって言い出すんですから...。で、今日せがまれて仕方なく連れて来たんですが、アテが外れたようですな! 深山君が売約済みと分かれば、玲香も諦めがつくでしょう。まあまた見合いでもさせますよ! 今度は我が社の有能な社員とでも引き合わせましょう! ワッハッハ!」 西田はそう言って豪快に笑った。 奈緒はびっくりして思わず省吾を見る。 すると省吾は楽しそうな笑みを浮かべて奈緒を見つめ返した。 それから三十分ほど打ち合わせをした後、二人は事務所の出口へと向かう。 見送りに来た西田と挨拶を交わすと、 二人は外へ出て駐車場に停めてある車へと向かった。 歩きながら省吾が言った。 「それにしても参ったなぁ...娘さんを俺に押し付けようとしていたなんて...」 「凄くお綺麗な方だったのに、残念でしたね」 奈緒がからかうように言うと、 省吾は苦笑いをしながら言った。 「今日は君を連れて来て正解だったな!」 「もしかして、この為に私を?」 「それはないよ! 俺は西田社長に娘がいる事も知らなかったんだから...」 省吾は笑いながらそう言うと、車のドアを開けた。
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