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「ここだよ」 省吾はそう言って店の中へ入って行った。 奈緒も後に続く。 店内には、50代半ばくらいの女性スタッフと、30代と思われる男性スタッフがいた。 省吾達が店に入ると二人は声をかけた。 「「いらっしゃいませ」」 そして女性スタッフがすぐに省吾に気付いた。 「確か副社長の...」 「弟です! どうも! ちょっと近くまで来たので...」 その女性スタッフは、省吾とは顔見知りのようだった。 田沢は後ろにいる奈緒に気付いて、にっこりと微笑んだ。 奈緒はペコリとお辞儀をする。 「今、お呼びしますね! 少々お待ち下さい!」 田沢はそう言って、省吾の姉を呼びに行った。 その間に、奈緒は店内をゆっくりと見回す。 ショーケースの中には、 キラキラと輝く美しい宝石が並んでいる。 実はこの店は、奈緒が大学時代からの憧れの店だった。 ずっと入ってみたかった店に入る事が出来て、奈緒は密かに興奮している。
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