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美樹が電話をしている間、省吾は奈緒に言った。
「本当にいいの? 嫌なら断るぞ!」
「ううん...なんか楽しそうだし...」
「そう? なんだか悪いな...」
省吾は奈緒が気を遣って姉に合わせているのではないかと心配しているようだ。
実のところ奈緒は少しホッとしていた。
省吾と二人でレストランに行っても、
きっと緊張して何を話していいか分からなかっただろう。
だから、美樹に誘ってもらい逆にホッとしていた。
しかしまさかこんな展開になるとは予想していなかったので、
なんだかすっかり巻き込まれている自分の事が可笑しくなる。
こうやって流れに身を任せてみるのも、時にはアリなのかもしれない...
そう思っている自分もいた。
そこへ、電話を終えた美樹が戻って来て言った。
「賢一がね、腕によりをかけるからもう少し時間を潰してから帰って来いって!」
それを聞いた省吾が奈緒に言った。
「義兄さんは趣味が料理なんだ! だから腕前はプロ級なんだ!」
「それは凄いわ!」
「奈緒ちゃん! 楽しみにしていて! きっとその辺のレストランへ行かなくて良かった~って思うかも!」
美樹はそう言って奈緒にウインクをした。
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