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そこで美樹が言った。 「奈緒ちゃんは、ゴールドの方が好きでしょう?」 『凄い! なんで分かるのかしら?』 奈緒はそう思いながら、美樹に聞いた。 「分かりますか?」 「ええ...今着けているネックレスがゴールドだもの! 私もね、あなたのお肌にはプラチナよりもゴールドの方が似合うような気がするわ!」 奈緒はそう言われてなんだか嬉しかった。 奈緒もゴールドの方が好きだったからだ。 すると、美樹がさらに聞いた。 「奈緒ちゃんは何月生まれ?」 「七月です」 「じゃあ誕生石はルビーね! ルビーのリングは持っているの?」 「いえ...持ってないです...」 奈緒は学生時代から、指輪を着ける習慣がなかった。 だから、誰かにプレゼントされたり、自分で買う事も今までなかった。 社会人になってから自分で買ったのは、ネックレスだけだ。 徹と付き合っている頃も、 婚約指輪をもらうまでは、ネックレスしかもらった事がない。 奈緒が唯一持っていた指輪は、 今は海の中に沈んでしまったあのエンゲージリングだけだった。 「そう! じゃあ、省吾からのファーストリングは誕生石にしたら? 女性は、誕生石を身に着けると幸せになれるっていう言い伝えもあるくらいだから!」 「へぇ~、そうなんだ...」 そこで省吾が興味深げに言う。
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