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「へぇ~、そんな不思議な事があるのかぁ...」
省吾の言葉に二人はうんと頷く。
「まあ見つからなかったのは残念だけれど、奈緒ちゃんには省吾君からの新しい指輪もあることだし...奈緒ちゃんが指輪を失くしたお陰でうちの売り上げも伸びたし...それには感謝しないとね! 本日はお買い上げまことにありがとうございます!」
賢一がすました顔で省吾にお辞儀をすると、
「お父さん、ちゃっかりしてるな!」
と冬真が言ったので、大人四人は声を出して笑った。
「で、その後偶然、奈緒ちゃんが省吾の会社に入って来るなんて! もうそれって運命でしかないじゃない~!」
美樹が興奮した様子で言うと、また冬真が言った。
「漫画とか恋愛ドラマみたいだよねっ!」
そこでまた四人が笑う。
「それにしても、そのルビー、奈緒ちゃんに似合ってるわぁ...やっぱり奈緒ちゃんはゴールド系が似合うわね!」
「本当だね、良く似合ってる!」
美樹と賢一がしみじみと言う。
そこで奈緒が言った。
「私、大学時代あの商店街によく行っていたんです。で、松倉宝飾店の前を通るたびに、ショーウィンドウをいつも覗いていました。いつか中に入ってみたいなぁってずっと憧れていて...でも今日思いがけず行く事が出来てとっても嬉しかったです!」
「へぇ! そうだったんだ! それは嬉しいなぁ...」
「本当ね」
二人は嬉しそう言った。
「あのお店をリニューアルしたのはいつ頃なのですか?」
「そっか! 奈緒ちゃんは古い店の方しか知らなかったのね! 店は去年リニューアルオープンしたのよ! 四年前に松倉の父が亡くなってね...それで代替わりをしたので、店を一新しようって話になったの」
「そうだったんですね。でも、凄く素敵に変わっていてびっくりしました」
「ありがとう! 名前も今風でしょう? やっぱり時代に合わせていかないとね。最近は雑誌に載せてもらう機会も増えて、だいぶ若いお客様も増えて来たのよ!」
「ファッション誌で私も何度か見ました。でも昔からクリスマス時期には、若い人達が行列を作って並んでいましたよね?」
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