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「そっか! 冬真は理工学部の何科に行きたいんだ?」 「えっとね...物理情報工学か電気情報工学かな?」 「そっか...たしかうちにも慶尚の理工から来た奴が何人かいたなぁ。皆優秀だぞ! 内部推薦で行けるのなら、絶対それを狙った方がいい。外部から受験するよりは遥かに楽だろうからな」 「うん、僕頑張るよ! で、省吾おじちゃんの会社に入れて貰うんだ!」 「おうっ、頑張れ! しっかり勉強すれば、うちでとってやる! ただし、ちゃんと入社試験を受けてもらうけれどな!」 省吾はたった一人の可愛い甥に対しても、決して特別扱いはしない。 コネ入社はしないと決めている省吾らしい。 しかしその事は甥の冬真も分かっているようで、 省吾の言葉に対し真剣な眼差しで、 「うんっ! 頑張るからね!」 と言って大きく頷いた。 デザートを食べ終えた二人は、 明日も仕事があるので、そろそろ帰る事にする。 奈緒は賢一と美樹に、料理が美味しかった事と、 楽しい時間が過ごせて嬉しかった事を伝えた。 そして冬真には、勉強頑張って下さいねと伝える。 二人が玄関へ向かうと、三人は玄関まで見送ってくれた。 その時、賢一が、 「今度EV車を運転させてくれよ!」 「分かりました! 義兄さんが乗るまでは売りませんから...」 省吾はそう言って笑った。 三人に見送られながら、二人は松倉家を後にした。 奈緒は、玄関の前に立つ三人の姿が見えなくなるまで、 車の中から手を振り続けた。
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