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それから省吾は、ずっと気になっていた事を聞いた。
「海に捨てた指輪は、婚約指輪だったの?」
突然省吾がそんな事を聞いて来たので、奈緒は驚いが、
正直に答える。
「はい...」
「そっか! あんな事があっても...あんな事実が明るみになっても、やっぱりすぐには忘れられないもんなんだな......」
「えっ? もしかして全部ご存知なのですか?」
「うん...」
省吾の返事を聞いて奈緒は驚いたが、
ふと名取美沙の事を思い出し、
きっと彼女から全てを聞いたのかもしれないと思った。
「で、さっき言ったのはどういう意味ですか? 忘れられないって...」
「ん? だって...相手の事を忘れられないから指輪を探していたんだろう?」
それを聞いた奈緒は、
『ああそう言う事だったのね...』
そう思いながら、勘違いをしている省吾に対し話し始めた。
「彼の事を忘れられなくてあの指輪を探していた訳ではないんです」
「えっ?」
省吾が驚いた顔をしていると、奈緒は丁寧に説明を始める。
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