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「もしかして酔ってる?」
省吾がそう聞くと、
「そんなに飲んだ覚えはありませんが...」
「そうかぁ? 義兄さんに結構ワインを勧められていたよね?」
「へッ? そうでしたっけ?」
奈緒はついざっくばらんに答えてしまった。
よく見ると、奈緒の頬が赤く染まっている。
「時間差で酔いが回るタイプか?」
「そんな事はないと思いますが......」
「でも強くはないだろう?」
「はい、めっちゃ弱いです......」
ついまた友達と話すような言葉を使ってしまう。
しかし、そんな事はもうどうでもよかった。
なんだか無性に眠い...。
奈緒の頭は次第に窓側に傾き始め、
しばらくの間目を瞑らないようにと必死で闘っていたが、
とうとうその目が開かなくなる。
やがて奈緒の口からは、スース―という寝息が漏れてきた。
「寝ちゃったか...」
省吾はそう呟いて、左手で自分の顎髭を触る。
そして穏やかな表情で運転を続けた。
「少しずつでいいんだ...そしていつか俺の前で全部をさらけ出せ!」
省吾は微笑みながらそう呟いていた。
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