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翌日奈緒は、なんとか無事に出社した。 朝は寝坊しかけたけれど、 目覚ましを三段階にセットしていたのでセーフだった。 昨夜は省吾がマンションの前まで車で送ってくれた。 帰り道ですっかり眠ってしまった奈緒は、 車が奈緒の住む街へ入る少し前に目覚めた。 そして、省吾に住所を伝えて家まで送り届けてもらう。 家に帰ると、すぐにシャワーを浴びてそのまま布団へ入った。 そこから朝まで爆睡だ。 こんなにぐっすり眠れたのは、本当に久しぶりだった。 おかげで頭がすっきりしている。 ワインを飲んだ翌日は、身体がだるい日が多いが、 今日はすっきりと気分が良い。 奈緒は薬指の指輪を一度眺めてから、 秘書室へ入った。 今日はさおりと恵子が先に来ていた。 いつもは奈緒より遅い二人が、もう来ている。 奈緒の姿を見ると、二人は待ってましたとばかりに言った。 「奈緒ちゃん、昨日はどうだったー?」 「帰りはどこに行ったの? 教えろ教えろ!」 二人の口からは立て続けに質問が飛んでくる。 それに対し奈緒は、 「おはようございます! ちょ、ちょっとバッグを置いてきますね......」 と言って慌ててロッカーへ向かう。 そして、 「ふーっ...」 と、一度深呼吸をしてから、オフィスへ戻った。
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