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その時、恵子が奈緒の指輪に気付く。 「奈緒ちゃんが指輪をはめてるっ! それも左手の薬指にっ!」 恵子の大声を聞いて、さおりが駆け寄って来た。 「本当だわっ! 何これっ! 超素敵じゃない!」 「えっと...それは...『小道具』です」 奈緒は省吾に言われたままの事を伝える。 すると、二人は顔を見合わせた後、奈緒に聞いた。 「「小道具?」」 「はい! 『偽装恋人』の『小道具』にって買っていただきました!」 奈緒の言葉を聞いたさおりが言った。 「はぁ~~~っ? 『小道具』でこんな高価な指輪を? だってこれルビーでしょう?」 「ですよねぇ? これってガチじゃないんですか?」 恵子も声を張り上げて言う。 「えっ? 違いますよ...」 奈緒はまさかという顔をして二人へ言う。 「奈緒ちゃん、深山さんの言葉を真に受けちゃ駄目よ。だってあの人が女性に指輪を贈るなんてそうそうないんだから! そりゃあ、付き合ってる女にジュエリーをおねだりされたら買ってあげる事もあるでしょうよ。でもね、それはいつもネックレスとかピアスなんかなのよ! それじゃあ相手が納得しない場合は、ブランド物のバックや時計なんかで誤魔化すの! だからね、指輪を貰うっていうのは、かなりレアな事なのよっ!」 さおりが興奮してまくしたてるように言った。 そこで、奈緒と恵子が同時にさおりに聞いた。 「「さおりさん、なんでそんな事を知ってるのですかっ?」」 二人の言葉を聞いたさおりは、急にハッとして罰の悪そうな顔をする。
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