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物流センターへ行った後、省吾の姉の店へ行った事、
そこで突然『小道具』を買うと省吾が言った事、
そしてその後、省吾の姉夫婦の自宅へお邪魔した事を全て話した。
「美樹ちゃんに会ったんだ! 元気だった? 私も久しく会ってないわぁ~!」
「とてもお元気そうでした! 素敵なご家族ですね!」
「うん、あの一家は仲良し家族なのよ! 私も何度かお邪魔した事があるわ! そっか~、その指輪は賢一さんのお店の物だったのね!」
さおりはそう言って微笑んだ。
「美樹さんのご主人は、お料理がプロ級でびっくりしました」
「でしょう? 賢一さんは、若い頃海外を渡り歩いてから料理に目覚めちゃったらしいの。だから今は店を持てるくらいの腕前よね! それに凄く優しくて紳士でしょう? あの二人は一回り年が離れているからねぇ...」
それを聞いて奈緒は驚いた。
美樹が45歳だと言っていたから、賢一は57歳という事になる。
賢一は若々しくて、とてもそんな風には見えなかった。
「それにしても、省吾は名案を思い付いたわね! 奈緒ちゃんの薬指に指輪をはめておけば、変な虫はつかないもんね!」
「まるでマーキングですね!」
恵子がそう言って笑うと、
「アイツ、意外と独占欲が強いのかもしれないわ...」
そうさおりが答えた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ...この指輪は普通の恋人同士のプレゼントとは違うんです! あくまでも『小道具』なんですよ! そこのところをお忘れなく!」
奈緒がきっぱりとした口調で言ったので、
二人は目をまん丸くした。
「今日の奈緒ちゃん、なんか今までとは違う?」
「本当! なんか生き生きしているっていう感じ!」
「えっ? そうですか?」
「うん、潔い感じもするわね!」
「なんかパワーがみなぎっているって感じ!」
二人は次々にそう言った。
「そうですか? 自分では何も感じないんですけど...」
奈緒はそう言って不思議そうな顔をする。
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