12

8/19
前へ
/342ページ
次へ
この夜も、仕事についての質問や、省吾の若い頃の話、 そしてプライベートについてまで、様々な質問が飛んで来た。 その質問の一つ一つに、省吾は丁寧に答えていく。 酒がだいぶ進み、話しが一段落したところで、 若手社員のリーダー的存在である江原(えはら)が言った。 江原は33歳で、このプロジェクトではかなり重要な役割を担っている。 「そう言えば、この前噂で聞いたんですけれど、深山さんの彼女さん、狙われているみたいですよ!」 「狙われてるって...なんだそれ?」 CTOの原田が酒をグイッと飲んでから聞いた。 「そう言えば、僕も聞きました。三上(みかみ)さんの事ですよね?」 江原の向かいにいた若手社員も言った。 「そうです!」 江原が答える。 「奈緒が狙われている? どういう意味だ?」 省吾が二人に聞いた。 すると江原が言った。 「技術統括本部の三上さんが、秘書の麻生さんを狙っているっていう噂が広まっているんです!」 「............」 省吾はそれを聞いて一瞬押し黙った。 しかしすぐにまた江原に聞いた。 「三上って、無人AI重機プロジェクトチームの三上君?」 「そうです!」 「三上君は、前に色々とありましたよねぇ? 社内で二股かけて女性同士が揉めちゃって、結構な騒動になったアレ...」 と原田が言う。 「そうです! で、女性のうちの一人が退職しましたよね」 「あったな...3~4年前だっけ?」 省吾がそう言うと、二人が頷く。
/342ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9539人が本棚に入れています
本棚に追加