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「もしもし？」
「奈緒？ 今どこ？」
「秘書室です」
「さおりさん達も一緒？」
「いえ、二人は先に帰りました。今、技術統括本部の三上さんがいらしてて...」
そこで一瞬省吾が息を呑む。
「三上君はなんて？」
「書類を届けに...」
「それだけじゃないだろう？」
「えっ？」
「奴は何をしている？」
「えっと......」
「ちゃんと言いなさい！」
「食事に誘われました...」
それを聞いた省吾は、フーッと息を深く吐いた。
そして奈緒に言った。
「三上に代わって！」
「はい......」
奈緒はそう言うと、三上にスマホを差し出した。
「深山さんがあなたと話しがしたいそうです」
奈緒の言葉を聞いて、三上はギョッとした顔をする。
奈緒が今までに見た事のない表情だった。
そこに『白馬に乗った王子様』の面影はない。
三上はスマホを受け取るとゆっくりと耳に当てる。
そして、少し上ずった声で言った。
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