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「もしもし、お電話替わりました、三上です」
それから三上はじっと黙ったまま、
省吾の話を聞いていた。
しばらく聞いた後、受け答えを始める。
「はい......いや別にそういう訳では......あ、それは誤解ですね...ええ、でもそれは周りが勝手に......はい...分かってます......誤解をさせるような真似をして申し訳ありません...以後気をつけます...それでは失礼いたします」
会話を終えた三上は、
電話を切るとスマホを奈緒に渡した。
「帰り際にすみませんでした...でも僕はまだ諦めませんよ!」
その言葉に、奈緒はゾッとした。
おそらく先程の電話で、
省吾はかなりきつく叱ってくれたのだと思う。
しかし三上は全く動じていない。
それどころか、奈緒を軽く挑発している。
その時、ノックの音が響いた。
「どうぞ!」
奈緒が声をかけると、公平が書類を持って入って来た。
「あ~、奈緒さん以外はもう帰っちゃったかぁ...」
「私でよろしければお手伝いしますよ?」
「うんありがとう! じゃあこの書類をさ、月曜の朝イチでさおりさんに渡しておいてくれる?」
「承知しました」
奈緒はそう言うと、鍵をかけた引き出しを再度開けてから
書類を中へしまった。
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