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その代わり、母に報告しようと思っていた事を口にする。
「お母さん、婚約指輪...やっぱり見つからなかった...」
「そうでしょう? そんな事だろう思ったわ!」
「えっ? そうなの?」
「当たり前じゃない! ただ、あなたがどうしても探すって言い張るもんだから、あえて知らんぷりしたのよ!」
「なんだー、じゃあ止めてよ! あの日大雪で大変だったんだからね!」
「フフッ、でも探すだけ探したらすっきりしたでしょう? 本当にあなたって子は、普段はおとなしいわりに、突然突拍子もない事をするんだから...小さい頃と全然変わっていないわ!」
聡美は可笑しそうに笑う。
「確かに海へ捨てたのはやり過ぎたかなって後で思ったわ。でもあの時はああでもしないと頭が変になりそうだったの!」
「分かってるわよ! 私だってね、今もし徹さんが生きていたら言ってやりたい事が山ほどあるわ! 大事な娘を傷付けてってね!」
聡美はそう言って深くため息をついてから続けた。
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