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「ですね......俺も仕事に私情を挟みたくはないですし、まあなんとか対策を考えてみますよ。もしかしたら、俺はあいつに嫌われているのかもしれません。だから奈緒に目をつけたのかも......」
「それはさすがにないでしょう。でもまあ三上は人一倍自尊心が高いですから、そういう意味では成功している省吾さんを羨ましく思うっていうのはあるかもしれませんが......」
「............」
「そういえば、三上って井上君の事も嫌っていましたね...」
「井上君?」
「はい...最近そんな話を耳にしました。前に井上君が同僚にありもしないデマを流されたでしょう? 噂を流した社員は横浜の倉庫に異動になりましたが、あれ、実は黒幕が三上だったんじゃないかって言っている人もいて...」
「えっ? そうなんですか?」
「噂ですけどね......ただその噂が出たのが最近なので、本当かどうかは分かりませんが......」
「井上君って、今三上と同じプロジェクトでしたよね?」
「そうです」
「三上よりもかなり年下だったような?」
「確か28だったかなぁ? 井上君は若いのに凄く優秀だから、実は陰で『深山二世』とか言われているみたいで......三上はそれが気に入らないんでしょうが、まあ上司の私としては先が楽しみですね!」
原田は嬉しそうに言った。
それを聞いた省吾は、何か考え事をしながらグラスの水をグイッと飲み干した。
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