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そして月曜の朝が来た。 省吾達の実証実験は、全て無事に終わった。 細かな問題点はいくつか残ったが、それは今後調整していく。 とりあえず、現場でのドローンの動作を確認し、必要なデータも取る事が出来た。 そのデータを元に、今後は更に改良を加えていく。 朝九時になると、奈緒はコーヒーを持って役員室へ行った。 省吾に会うのは五日ぶりだ。 こんなに長い間会わなかったのは、奈緒が入社してから初めてだ。 ノックをして部屋に入ると、省吾はパソコンに集中していた。 奈緒が持って来たコーヒーの香りに気づくと、 省吾が顔を上げた。 そのタイミングで、奈緒が声をかけた。 「お帰りなさい! 実験は無事に終わったようで良かったですね」 奈緒はそう言ってデスクの上にコーヒーを置いた。 「ただいま! うん、やっと肩の荷が下りたよ」 省吾は穏やかな表情で早速コーヒーを一口飲む。 「奈緒が持ってきてくれたコーヒーを飲むとシャキッとするな!」 その言葉に、思わず奈緒は嬉しくなる。 そして、奈緒は今日一日のスケジュールを読み上げた。 「今日は割とのんびりできるな!」 「はい......お疲れでしょうから、アポは控えめにしておきました」 「さすが有能秘書! ほんと奈緒がスケジュール調整をしてくれるようになってから、俺はやっと人間らしい生活に戻れた気がするよ」 「それはさすがに大袈裟です!」 奈緒はフフッと笑う。 省吾も穏やかに微笑むと、もう一口コーヒーを飲んだ。 その姿を見て、奈緒はなぜか胸が熱くなっていた。
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