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「三上君の事なんだけれど、その後も大丈夫だった?」 省吾が突然言ったので、奈緒は驚いた顔をする。 「あ、はい.....あの時はありがとうございました。あれからは特に何もないのでご心配なく!」 あの日、秘書室から三上が去った後、 奈緒はすぐに会社を出てデパートへ向かった。 そしてデパ地下で食料品を見ている時に、省吾からのメッセージが届いた。 省吾はその後の事を心配してくれていたのだ。 奈緒は省吾を安心させる為、大丈夫ですとすぐに返事を送った。 「それは良かった。ただね、俺の予想では、三上君はまた奈緒にちょっかいを出してくると思うんだ。実はね、三上君は昔男女関係のトラブルを起こしたことがあるんだよ。だから奈緒には充分注意して欲しいんだ」 それを聞いて奈緒は驚いた。 『女子社員から大人気の白馬に乗った王子様が、女性関係でトラブル?』 その内容を聞いてみたい気もしたが、 省吾が忙しそうなので、諦める。 「分かりました」 とだけ返事をする。 そして奈緒は思った。 以前の奈緒だったら、今省吾が言った言葉をにわかに信じられなかったと思う。 表向き、三上はいつも紳士的でどんな人に対しても優しい。 だから、まさか女性関係でトラブルを起こしたなんて聞いても、信じられなかったかもしれない。 しかし、先週三上の新たな一面を知ってしまった奈緒は、 あり得るだろうと思った。 人は見かけだけでは分からない。 そう...奈緒が信じていたあの徹だって浮気をしていたのだから......
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