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「えっ? あっ、あの...?」
奈緒は思わず真っ赤になる。
なぜなら、省吾の顔が至近距離にあったからだ。
省吾は少し奈緒を見上げる形で微笑んでいるが、
省吾の手はしっかり腰に手を回り、奈緒が逃げられないようにしていた。
「土産はもう一つあるんだよ...」
省吾はそう言うと、引き出しから小さな紙袋を出して
奈緒の膝の上に置いた。
「えっと...これは私に?」
「奈緒以外の誰にあげるんだ?」
省吾はそう言って指で奈緒の頬を優しく小突いた。
「...ですよね...」
奈緒は思わず苦笑いをする。
あまりにも省吾が近すぎて、冷静に対処するのが難しい。
「開けてごらん」
「はっはい......」
奈緒は省吾の上に乗ったまま、紙袋を開けてみた。
するとそこには、北海道の第二のゆるキャラとして人気の、
『降るリン♪』というマスコットがついたストラップが入っていた。
真っ白でフワフワな『降るリン♪』は、
雪の妖精と言われている。
そのキャラクターはとても人気があり、
時々テレビでも紹介されたりするので、奈緒も知っていた。
しかし、省吾はなぜこれを奈緒に買って来たのだろう?
気になった奈緒は省吾に聞いた。
「かわいい...でもなぜこれを私に?」
「奈緒にそっくりだろう? だから空港で目が合った時、つい買っちまった!」
省吾はそう言って笑う。
「えっ? に、似てます?」
「うん、まんまだろう?」
「どこがですか?」
「ん-、そうだなぁ、フワフワしていて色白で目が大きいところ?」
奈緒はそれを聞いて、思わず「プッ!」と笑う。
「なんで笑うんだよ」
「だって色白で目が大きければ、誰でも似るでしょう?」
奈緒は省吾の言葉がツボにはまったらしく、
クスクスと笑い続けている。
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