13

6/28
前へ
/342ページ
次へ
役員室を出た奈緒は、まだ心臓がドキドキしていた。 男性の膝の上になんて乗った事がない。 もうそのシチュエーションだけで、奈緒をうろたえさせるには充分過ぎた。 息がかかるほどの距離で見た省吾の顔は、 やはりイケメンだった。 今思い出してもドキドキする... 『ダメよっ! この不謹慎女っ!』 奈緒はそう自分を戒めると、一度深呼吸してから 秘書室へ入った。 そこで、さおりと恵子に省吾からの土産を渡す。 「わーい、個別でも買って来てくれるなんて深山さん優しい!」 恵子が単純に喜んでいると、 さおりが笑いながら言った。 「これはカモフラージュよっ! ほら、奈緒ちゃんだけに買って行くと私達が拗ねるじゃない? だからついでに買ったのよっ! ほんとに省吾ったら世渡りが上手いんだからぁ~!」 「なんだ~、でもどんな理由でもいいですよ! 有難く頂戴しまーすっ!」 恵子はそう言ってニコニコしていた。 そこでさおりは、奈緒がもう一つ手にしている包みを見て言った。 「おっ、それが奈緒ちゃんへの本命土産ね!」 「えっ? あ、これですか?」 「なになに~! 深山セレクトのお土産見せてぇ~!」 「私も見たいーっ!」 と二人が急かす様に言ったので、 仕方なく奈緒は、袋から『降るリン♪』のストラップを取り出した。 「「キャーッ! 可愛いっ!」」 二人が大興奮する。 そして恵子が言った。
/342ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9571人が本棚に入れています
本棚に追加