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役員室を出た奈緒は、まだ心臓がドキドキしていた。
男性の膝の上になんて乗った事がない。
もうそのシチュエーションだけで、奈緒をうろたえさせるには充分過ぎた。
息がかかるほどの距離で見た省吾の顔は、
やはりイケメンだった。
今思い出してもドキドキする...
『ダメよっ! この不謹慎女っ!』
奈緒はそう自分を戒めると、一度深呼吸してから
秘書室へ入った。
そこで、さおりと恵子に省吾からの土産を渡す。
「わーい、個別でも買って来てくれるなんて深山さん優しい!」
恵子が単純に喜んでいると、
さおりが笑いながら言った。
「これはカモフラージュよっ! ほら、奈緒ちゃんだけに買って行くと私達が拗ねるじゃない? だからついでに買ったのよっ! ほんとに省吾ったら世渡りが上手いんだからぁ~!」
「なんだ~、でもどんな理由でもいいですよ! 有難く頂戴しまーすっ!」
恵子はそう言ってニコニコしていた。
そこでさおりは、奈緒がもう一つ手にしている包みを見て言った。
「おっ、それが奈緒ちゃんへの本命土産ね!」
「えっ? あ、これですか?」
「なになに~! 深山セレクトのお土産見せてぇ~!」
「私も見たいーっ!」
と二人が急かす様に言ったので、
仕方なく奈緒は、袋から『降るリン♪』のストラップを取り出した。
「「キャーッ! 可愛いっ!」」
二人が大興奮する。
そして恵子が言った。
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