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母との電話を終えた奈緒は、
徹の荷物の入った段ボールをガムテープで閉じ、
その箱を、玄関まで持って行った。
それからキッチンで紅茶を入れ、テーブルへ戻る。
そして紅茶を一口飲むと、ノートパソコンを開いた。
来週面接に行く会社の情報を、調べておこうと思ったからだ。
しかし奈緒の頭には、ぼんやりと徹の事が思い浮かんでくる。
徹は36歳、奈緒よりも5つ上だった。
奈緒が新卒で営業推進本部に配属された事がきっかけで
二人は知り合う。
もちろん最初は、同じ部の先輩後輩として接していた。
奈緒は主に事務系を担当していたが、
男性社員が外回りで集めてきたデータの整理や、
会議で使う資料作り、
そして研修や社内セミナーで使う資料作りなど、
男性社員と組んで仕事をする事が多かった。
そして、奈緒は徹と一緒に仕事をする事が増えていく。
奈緒は真面目だったので、仕事はすぐに覚えた。
元々、細かい事によく気が付き機転が利く奈緒は、
次第に徹が求めている以上のサポートをするようになる。
そのお陰で、徹の仕事はどんどんスムーズに進むようになっていた。
徹はそんな奈緒の事を、
いつしか特別な存在だと思うようになっていた。
徹は営業推進本部のエースと言われいるだけあり、
コミュ二ケーション能力や企画力、そして行動力に長けていて、
上司からの信頼も厚かった。
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