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それまで恋愛経験が乏しかった奈緒は、 徹との付き合いに慣れるまで、だいぶ時間がかかった。 徹はそんな初心(うぶ)な奈緒に対し、さらに思いを深めていく。 奈緒が26歳の時から交際を始めてそれから5年。 特に喧嘩らしい喧嘩をする事もなく、二人の交際は順調に進んでいた。 奈緒が30歳を迎えた年、さすがに少しは結婚を意識したが、 徹からのリアクションは特になかった。 学生時代の同級生は、徐々に結婚や出産をする人が増えてきた。 そういうのを見ていると、ほんの少し焦る気持ちもあったが、 徹との良い関係は続いていたので、 なるべく気にしないようにして、日々を過ごしていた。 それから一年後、結婚には興味がなかった徹が、 どういう風の吹き回しか、突然奈緒にプロポーズをする。 徹の急な変化に驚いた奈緒だが、 結婚するなら徹以外は考えられない... そう思っていたのですぐにOKの返事をした。 そしてプロポーズの後、奈緒は徹から婚約指輪を買ってもらった。 それはプラチナ製のダイヤモンドリングで、 とても美しい指輪だった。 指輪は二人で買いに行った。 徹は奈緒が好きなのを選んでいいよと言い、 奈緒はワクワクしながら選んだのを覚えている。 その時の奈緒は、まさに幸福の絶頂にいた。
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