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プロポーズの翌週、奈緒は上司の加賀に異動の希望を出した。
加賀にはその時、二人が婚約した事を伝える。
加賀はとても喜んでくれて、
奈緒の希望通り、すぐに経理部へ異動させてくれた。
そしてその一ヶ月後、
徹は交通事故で帰らぬ人となった。
事故のあった日、
突然奈緒のスマホに知らない番号からの着信があった。
電話は徹の父からだった。
そこで事故の知らせを受ける。
奈緒は二週間後に、
徹の実家へ結婚の挨拶に行く事になっていた。
徹の両親とはまだ会った事がなかったので、
その時初めて徹の父親と話した。
慌てて病院へ駆けつけると、徹は既に冷たくなっていた。
徹の母親が、息子にすがるようにして大声で泣いているのを見て、
奈緒はその現実を目の当たりにする。
しかし、衝撃はそれだけでは終わらなかった。
その日、もう一つの試練が奈緒を襲う。
徹がいる霊安室の隣に、
女性の遺体が安置されていた。
警察によると、女性は徹の車の助手席へ乗っていたそうだ。
そして彼女もまた、事故で即死だったようだ。
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