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次の週、省吾は大崎の本社にいた。
CyberSpace.incは、
駅前の高層ビルの中に本社を構えている。
会社は、去年この新しいビルに移転して来たばかりだった。
社内の設備やセキュリティーは最先端でとても素晴らしく、
勢いのあるIT企業にはぴったりのオフィスビルだった。
部署ごとに別れたフロアは、
解放感に溢れ、とても居心地が良さそうだ。
一人一人のデスクは、パーソナルスペースがきちんと確保され、
少し高めの仕切りがついていて、
まるでアメリカ映画に出て来るようなおしゃれなオフィスだった。
デスク周りはそれぞれの好みで個性的に飾られている。
既婚者は家族の写真を飾ったり、
女性社員は可愛い小物やマスコット、
そしてオタク系の男性社員は、フィギュアや推しグッズを並べている。
まるで自分の部屋にいるような...そんな落ち着いた空間での仕事は、
はかどる事間違いなしだ。
プログラマーやエンジニアは、基本的にチームで動く事も多いので、
その為のミーティングスペースも充実している。
共有スペースのすぐ傍にはカフェコーナーがあり、
いつでも自由にお茶が飲めるようになっていた。
コーヒーや紅茶、緑茶やハーブティーなど、
様々な種類のお茶が常に用意され、
その傍らには、小腹が空いた時に
自由に食べてよいスープや菓子類も置かれていた。
カフェコーナーのカウンターの上には、
休暇で旅行に行って来た社員の土産の菓子も置かれていた。
こういった土産は、一人一人に配らずに、
ここから各自取っていくスタイルだ。
とにかく無駄な雑用や、日本の会社にありがちな悪しき風習は、
この会社には皆無と言っていい。
CEOの深山省吾が徹底した合理主義者なので、
社内の雰囲気も合理性を求めた仕組みとなっていた。
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