3

3/12

9344人が本棚に入れています
本棚に追加
/342ページ
「あいつは愛妻弁当があるからいいよなぁ...」 省吾はボソッと呟くとエレベーターへ向かう。 エレベーターの前に立っていると、 「深山さん、今日はお昼遅いっすねぇ」 「一階のカフェ混んでましたよ」 と、社員達が気さくに省吾に話しかける。 「電話受けてたら遅くなっちゃったわ!」 「おっ、そっかぁ? まだ混んでるのか...」 省吾も、一人一人に返事を返す。 ここでは省吾の事をCEOと呼ぶ者は一人もいない。 それは省吾の希望で、 「深山さん」か「省吾さん」 と呼んでくれと伝えているからだ。 それは、新入社員に対しても同じだった。 職場の良い雰囲気は、社員のやる気や成果に繋がる。 そう信じている省吾は、社内でのコミュニケーションを 最も大切にしていた。 社員に悩みや相談事があればいつでも聞いてあげられるように、 常に間口は広く開けておきたい。 その為にも、普段から誰に対しても平等に接し、 コミュニケーションを深めるよう意識していた。
/342ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9344人が本棚に入れています
本棚に追加