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「あいつは愛妻弁当があるからいいよなぁ...」
省吾はボソッと呟くとエレベーターへ向かう。
エレベーターの前に立っていると、
「深山さん、今日はお昼遅いっすねぇ」
「一階のカフェ混んでましたよ」
と、社員達が気さくに省吾に話しかける。
「電話受けてたら遅くなっちゃったわ!」
「おっ、そっかぁ? まだ混んでるのか...」
省吾も、一人一人に返事を返す。
ここでは省吾の事をCEOと呼ぶ者は一人もいない。
それは省吾の希望で、
「深山さん」か「省吾さん」
と呼んでくれと伝えているからだ。
それは、新入社員に対しても同じだった。
職場の良い雰囲気は、社員のやる気や成果に繋がる。
そう信じている省吾は、社内でのコミュニケーションを
最も大切にしていた。
社員に悩みや相談事があればいつでも聞いてあげられるように、
常に間口は広く開けておきたい。
その為にも、普段から誰に対しても平等に接し、
コミュニケーションを深めるよう意識していた。
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