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「どうぞ!」
さおりが答えると、秘書室へ原田が入って来た。
噂の張本人が入って来たので、奈緒と恵子は驚いた。
「おはようございます! ちょっといいですか?」
「何ですか?」
さおりが聞くと、
「さおりさん、前にバレエを見たいって仰っていましたよね? これ、知り合いからいただいたバレエのチケットなんです。良かったら一緒に行きませんか?」
そこで、恵子と奈緒がニヤリと笑いながら目くばせをする。
さおりはというと、突然の事に驚いたまま何も言えずにいた。
そこで、恵子が肘でさおりを突く。
「えっ? あっ? えっと、どこのバレエ団ですか?」
さおりが動揺気味に質問をすると、原田はさおりの前まで来て
チケットを渡した。
「たしか、英国ロワイヤルバレエ団のやつで、演目はジゼルだったかな?」
「えっ? ジゼルっ? 行くっ! 行きますっ! 私ジゼルが見たかったの!」
「それは良かった! 日程は来週の金曜の夜です。では、その日仕事が終わったらお迎えにあがりますので、ここで待っていて下さい」
原田はそう言うと、お邪魔しましたと言って部屋を出て行った。
さおりを見ると、フリーズして動かない。
「さおりさんにも春が来ましたね!」
「初デートがバレエ鑑賞なんて素敵! バレエが取り持つ愛かぁ...凄くロマンチック!」
奈緒と恵子がそう茶化すと、
さおりはハッとして急に我に返ると言った。
「でも、私もエッチが上手い人じゃないと無理だから!」
それを聞いた奈緒と恵子は、大声を出して笑った。
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