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「秘書の件ですぅ~! 深山さん、ずっと秘書を募集されていますよね? 私、秘書検定三級持っているんで立候補しているんですけどぉ~!」 「あっ、そうだったね! うん、でもね、君は人事部に必要とされている人間だから、今はそっちで頑張ってもらわないと!」 省吾はニッコリ笑いながら、やんわりと断る。 どういう訳か、省吾は行く先々で頻繁に美沙に会うので、 今ではなんとなく顔見知りになり、 会えば美沙の方から話しかけてくるようになっていた。 省吾の返事を聞いた美沙は、 「えーっ、残念~! 私、もし秘書になったら絶対に頑張るのに~!」 と甘えた声で言う。 「ありがとう! でもとりあえずは今いる場所でしっかりと頑張って下さい!」 その言葉を聞いて、ムスッとしていた美沙だが、 次の瞬間パッと明るい表情に変えてから言った。 「じゃあ、今日はお昼をご一緒しませんか? 一階のカフェに行かれるんですよね?」 「悪い! 昼はちょっと外で打ち合わせなんだ...」 省吾はそう言って美沙の誘いをやんわりと断る。 「えーっ、なんか私を避けてます?」 「違う、違うよっ!」 省吾は苦笑いを浮かべながら、 手を顔の前でブンブンと振る。 ちょうどその時エレベーターが一階に到着したので、 省吾は正直ホッとした。 「じゃあね! 午後もしっかり頼むよ!」 省吾は美沙にそう言うと、出口へ向かって歩き始めた。 そんな省吾の颯爽とした後ろ姿を、 美沙はほっぺたを膨らませながら見つめていた。
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