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28階のフロアには、人気があまりなかった。
すれ違ったのは、廊下に掃除機をかけているパートの女性二人だけだった。
どうやらこの階は、備品室や資料室、そして会議室等、
普段あまり従業員がいないフロアのようだ。
奈緒は電話で指示された通りに、
エレベーターを出て右側の廊下を進んで行く。
面接当日は、一番突き当たりの部屋で待っているようにと
指示されていたので、そのまま奥へ歩いて行った。
目的の部屋まで行くと、ドアの横にある液晶画面に、
『面接の方は、中へ入ってお待ち下さい』
と書かれてあった。
ドアは既に開いていたので、奈緒は、
「失礼します」
と声をかけてから中へ足を踏み入れる。
そして入ってみて驚いた。
ドアの前のパーテーションの向こうには、
バーかカフェのようなカウンター設置され、
その手前には、大きなテーブルがいくつか置かれている。
「えっ?」
奈緒はびっくりしていた。
てっきり会議室だと思っていた部屋は、
パーティールームだったからだ。
『こんな設備があるんだ...凄い...』
奈緒は心の中でそう呟くと、
一度辺りを見回してから、フーッと息を吐いた。
そして、出口付近に置かれている椅子に腰を下ろした。
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