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その時奈緒は、急にこの会社で働いてみたい... そんな気持ちが湧き上がってくる。 ここで働けば、沢山の刺激がもらえる。 そして、きっと何かが変わるはず... そんな気がした。 この会社に受かりたいという気持ちが強くなると、 途端に心臓の鼓動が大きくなってくる。 先ほどよりも、緊張度が増してきたようだ。 奈緒はなんとか気持ちを落ち着けようと、 少し大きめの深呼吸をした。 その時、一人の女子社員が部屋へ入って来た。 薄ピンク色のワンピースを着た、とても綺麗な女性だった。 歳は奈緒と同年代のように見える。 奈緒は慌てて立ち上がると、 「本日、2時からの面談の予約を入れております麻生奈緒と申します。よろしくお願いいたします」 そう言って深くお辞儀をした。 すると、その女子社員は、 一度上から下まで奈緒を値踏みするように見つめた後、 「人事部の名取です。では今から面接室へご案内いたしますので、 お荷物を持ってついて来て下さい」 女性は無表情のままそう言うと、廊下を歩き始めた。 この女子社員は、先ほど省吾とエレベーターの中で一緒だった 人事部の名取美沙だった。 美沙は女性が面接に来ると、いつもこの冷ややかな態度を取る。 今日は経理部の面接だったのでこの程度で済んだが、 秘書へ応募してくる女性が来ると、もっと手厳しい。
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