9349人が本棚に入れています
本棚に追加
/342ページ
その時奈緒は、急にこの会社で働いてみたい...
そんな気持ちが湧き上がってくる。
ここで働けば、沢山の刺激がもらえる。
そして、きっと何かが変わるはず...
そんな気がした。
この会社に受かりたいという気持ちが強くなると、
途端に心臓の鼓動が大きくなってくる。
先ほどよりも、緊張度が増してきたようだ。
奈緒はなんとか気持ちを落ち着けようと、
少し大きめの深呼吸をした。
その時、一人の女子社員が部屋へ入って来た。
薄ピンク色のワンピースを着た、とても綺麗な女性だった。
歳は奈緒と同年代のように見える。
奈緒は慌てて立ち上がると、
「本日、2時からの面談の予約を入れております麻生奈緒と申します。よろしくお願いいたします」
そう言って深くお辞儀をした。
すると、その女子社員は、
一度上から下まで奈緒を値踏みするように見つめた後、
「人事部の名取です。では今から面接室へご案内いたしますので、
お荷物を持ってついて来て下さい」
女性は無表情のままそう言うと、廊下を歩き始めた。
この女子社員は、先ほど省吾とエレベーターの中で一緒だった
人事部の名取美沙だった。
美沙は女性が面接に来ると、いつもこの冷ややかな態度を取る。
今日は経理部の面接だったのでこの程度で済んだが、
秘書へ応募してくる女性が来ると、もっと手厳しい。
最初のコメントを投稿しよう!