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面接会場には、四人の面接官がいた。
長いテーブルを二つ繋げ、そこに四人が座っている。
女性が一名と男性が三名。
面接官の人数をさりげなく確認すると、
奈緒は椅子の横まで進み、姿勢を正してから言った。
「麻生奈緒と申します。よろしくお願いいたします」
深々とお辞儀をしてから顔を上げると、
目の前に見覚えのある顔があったので、
一瞬驚いた表情になる。
『!』
その見覚えのある顔は、誰なのかすぐに分かった。
それは、あの大雪の日に海で会った男性だった。
「やぁ! また会ったね!」
省吾は笑顔で言いながら、軽く右手を挙げた。
その瞬間、他の三人が省吾の方を振り向く。
そして省吾の隣にいた男性が言った。
「なんだ、お前の知り合いか?」
「えっ? そうなの?」
反対隣りに座っていた女性も、思わず聞いた。
すると省吾は、
「うん、ちょっとね...」
思わせぶりにそう言うと、
微笑みを浮かべて奈緒に言った。
「どうぞ、座って楽にして下さい」
奈緒はパニックになった頭で必死に考える。
なぜあの時の男性がここにいるのだろうか?
すると答えはすぐに見つかった。
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