4

1/14

9349人が本棚に入れています
本棚に追加
/342ページ

4

面接会場には、四人の面接官がいた。 長いテーブルを二つ繋げ、そこに四人が座っている。 女性が一名と男性が三名。 面接官の人数をさりげなく確認すると、 奈緒は椅子の横まで進み、姿勢を正してから言った。 「麻生奈緒と申します。よろしくお願いいたします」 深々とお辞儀をしてから顔を上げると、 目の前に見覚えのある顔があったので、 一瞬驚いた表情になる。 『!』 その見覚えのある顔は、誰なのかすぐに分かった。 それは、あの大雪の日に海で会った男性だった。 「やぁ! また会ったね!」 省吾は笑顔で言いながら、軽く右手を挙げた。 その瞬間、他の三人が省吾の方を振り向く。 そして省吾の隣にいた男性が言った。 「なんだ、お前の知り合いか?」 「えっ? そうなの?」 反対隣りに座っていた女性も、思わず聞いた。 すると省吾は、 「うん、ちょっとね...」 思わせぶりにそう言うと、 微笑みを浮かべて奈緒に言った。 「どうぞ、座って楽にして下さい」 奈緒はパニックになった頭で必死に考える。 なぜあの時の男性がここにいるのだろうか? すると答えはすぐに見つかった。
/342ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9349人が本棚に入れています
本棚に追加