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奈緒は心臓をドキドキさせながら、 「失礼します」 と言って椅子に座る。 なんとなく声が上ずってしまった。 すると、省吾が再び口を開いた。 「私は最高経営責任者の深山省吾です。よろしく!」 『やっぱり...』 奈緒は胸の内でそう呟いたが、 今が面接中である事を思い出し、慌てて省吾にお辞儀をする。 自己紹介を終えた省吾は、隣に座る公平の方を見て、 自己紹介をするよう促した。 「私は最高執行責任者の川田公平と申します。よろしく!」 続けてその隣りの男性が、 「人事部長の杉田浩二(すぎたこうじ)です」 そして最後に左端に座る眼鏡の女性が言った。 「経理部長の村田美奈子です。先日はお電話でありがとうございました」 村田はにっこりして微笑んだ。 村田は40歳前後の、ショートヘアの女性だった。 シルバーフレームの眼鏡をかけ、 シンプルなグレーのパンツスーツを着こなし、 とてもスタイリッシュな女性だった。 もし奈緒がこの会社に採用されれば、 この女性が上司になるのかもしれないと思うと、少しドキドキした。 村田は同性の奈緒から見ても、 バリバリのキャリアウーマンといった感じで とても素敵だった。
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