9349人が本棚に入れています
本棚に追加
/342ページ
奈緒は心臓をドキドキさせながら、
「失礼します」
と言って椅子に座る。
なんとなく声が上ずってしまった。
すると、省吾が再び口を開いた。
「私は最高経営責任者の深山省吾です。よろしく!」
『やっぱり...』
奈緒は胸の内でそう呟いたが、
今が面接中である事を思い出し、慌てて省吾にお辞儀をする。
自己紹介を終えた省吾は、隣に座る公平の方を見て、
自己紹介をするよう促した。
「私は最高執行責任者の川田公平と申します。よろしく!」
続けてその隣りの男性が、
「人事部長の杉田浩二です」
そして最後に左端に座る眼鏡の女性が言った。
「経理部長の村田美奈子です。先日はお電話でありがとうございました」
村田はにっこりして微笑んだ。
村田は40歳前後の、ショートヘアの女性だった。
シルバーフレームの眼鏡をかけ、
シンプルなグレーのパンツスーツを着こなし、
とてもスタイリッシュな女性だった。
もし奈緒がこの会社に採用されれば、
この女性が上司になるのかもしれないと思うと、少しドキドキした。
村田は同性の奈緒から見ても、
バリバリのキャリアウーマンといった感じで
とても素敵だった。
最初のコメントを投稿しよう!