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いきなりそんな事を言われた奈緒は、戸惑っていた。
経理の仕事を受けに来たはずなのに、
資格所持のみで、全く未経験の秘書の仕事が出来るかと問われても、
なんと答えていいか分からない。
しかし、何か答えなくてはと慌てて口を開いた。
「秘書業務は全くの未経験ですし、正直あまり自信が...」
「そうよねぇ...経理の仕事を受けに来たのにいきなり秘書なんて言われても、困っちゃうわよねぇ...! 省吾ちゃん、今回は諦めて!」
村田が勝ち誇ったように言う。
「うん...でもね...前の会社でサポート業務をやっていたんですよね? それって秘書業務に通じるんじゃないかな? その時のサポート内容を、大体でいいから教えてくれませんか?」
「はい...えっと、一緒に組んだ社員が持ち帰ったデータの整理をしたり、外回りのスケジュール調整をしたり、出張の手配や手土産の用意...それに会議の準備や資料作り...あとは電話対応や郵便物の発送...主な業務はこんな感じです」
それを聞いた省吾はニンマリとした。
「それって、ほぼ秘書業務だよね!」
「確かにそうだな...」
隣りの公平も頷きながら言う。
「ちょっとぉ~、マジで秘書にするつもり~? だったら経理の補充はどうなるのよぉ~!」
村田が不満気に訴える。
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