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「経理はまだ募集をかけたままなんだろう? だったら応募が来るだろうからその中から採用すればいい。元々麻生さんは、KDSDの加賀さんからの紹介だから、今回はノーカウントって事で!」
それを聞いた人事部長の杉田が言った。
「実は経理への応募は、もう既に三名の方から来ております」
「ほらほら~! 村田ちゃん、大丈夫じゃないか!」
省吾がニコニコしながら言うと、
村田は少しムスッとした顔をしながら、しぶしぶ納得する。
そこで人事部長の杉田が言った。
「まぁ省吾さんはずーっと長い間秘書を探しておられましたからね。それにお知り合いなら適任かもしれません! どうですか? 麻生さん? うちに秘書として、是非来ていただけませんか?」
奈緒は突然そんな事を言われたのでびっくりした。
『えっ? 採用の結果って、今この場で出るものなの?』
面接の結果は、後日通知されるものだと思っていた奈緒は、
すぐに結果が出た事に驚いていた。
そして、是非来て欲しいと直接言われた事で、心臓が高鳴り始める。
それと同時に、
この若いエネルギーが溢れる勢いのある会社で、
働いてみたいと思っている自分もいた。
なぜかこのチャンスを逃してはいけないような気がした。
そして次の瞬間、言葉が勝手に口をついて出た。
「至らない点が多々あるとは思いますが、是非よろしくお願いいたします」
奈緒はそう言うと、椅子から立ち上がって深々とお辞儀をした。
その様子を見た省吾は、満足そうにうんと頷いた。
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