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面接の帰り道、奈緒はフワフワした感覚に包まれていた。
その後の話し合いで、奈緒は五月の連休明けから、
CyberSpace.inc へ秘書として採用される事になった。
まさか今日中に採用が決まるとは思ってもいなかったので、
信じられない気持ちでいっぱいだった。
本当は、今日受けた面接の結果が出るまでの間、
次に受ける会社を探さなくてはと思っていたのだ。
それが、突然必要なくなる。
『こんなにあっさり決まっていいのだろうか?』
あまりにもあっさり決まったので、逆に不安な気持ちになる。
とりあえず駅に着いた奈緒は、
この会社を紹介してくれた元上司の加賀に電話を入れる事にした。
電話に出たのは、奈緒が営業推進本部にいた時の先輩、
鳥澤理恵子だった。
理恵子は奈緒の二期先輩で、入社してからずっと仲良くしてもらっていた。
「奈緒~! 久しぶり! どうぉ? 少しは落ち着いた?」
「理恵子さん、お久しぶりです。はい、だいぶ落ち着きました」
「突然退職しちゃうからさぁ...ゆっくり送別会も出来なかったよ~。今度時間が出来たらゆっくり飲もうよ~!」
「はい、是非! あの...加賀部長は今いらっしゃいますか?」
「うんいるいる、替わるね! ちょっと待ってて!」
しばらくすると、加賀が電話口に出た。
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