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奈緒が声を出して笑っているのを見た千秋は、感慨深げに言った。
「奈緒の笑った顔、久しぶりに見たよ。だいぶ元の奈緒に戻って来たね! お帰り!」
その言葉を聞いた奈緒は、思わず胸が熱くなる。
そしてその時気づいたのだった。
自分が親友にかなり心配をかけていた事を...
「千秋....いろいろ心配かけてごめんね...私、これからしっかり頑張るから...」
「頑張り過ぎなくていいよ。徐々にゆっくりと、ぼちぼちでいいんだからね」
「うん...ありがと...」
二人はそう言って、互いの目を見つめ合った。
どちらの瞳も潤んでいた。
それから二人は同時にフフッと笑うと、
「グラスワイン、もう一杯いっちゃおうか?」
と、千秋が嬉しそうに言ったので、
奈緒も、
「うん、いっちゃおう!」
と言い、手を挙げて店のスタッフを呼んだ。
その後は、奈緒が来週から通う CyberSpace.inc についての
話題で盛り上がった。
千秋は奈緒以上に、CyberSpace.inc についての情報を
持っていた。
会社の業務内容や深山省吾の噂話、
その他、奈緒が知らなかった話題で盛り上がる。
美味しいイタリアンを堪能しながら、
その夜、二人のお喋りはいつまでも続いた。
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