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奈緒は緊張気味に、二人に向かって挨拶をした。 「はじめまして、麻生です。色々とご迷惑をおかけするかもしれませんが、これからどうぞよろしくお願いいたします」 すると、40代の水戸が言った。 「CyberSpace へようこそ! フフッ、『素敵なお姉さん1号』の水戸です! 何か困った事があれば、いつでも遠慮なく言って下さいね」 水戸はユーモアを交えて言った。 続いて、 「『素敵なお姉さん2号』の野口でーす。私もね、中途採用でここに入ってまだ一年目なの! この会社は割とざっくばらんで楽しいから、リラックスして頑張ってね!」 野口はそう言ってニッコリと微笑んだ。 奈緒は二人に向かってもう一度頭を下げると、 「ありがとうございます」 と笑顔で答えた。 奈緒は密かに感動していた。 なぜなら、 この二人は面接の時の女性社員とは正反対だったからだ。 『二人とも優しい...』 緊張している奈緒をリラックスさせようと、 あえてユーモアを交えて挨拶をしてくれたのだ。 二人の気遣いに奈緒が感動していると、杉田が言った。 「じゃ、早速秘書室へ行きましょう! ちょっと行ってくるね!」 杉田は二人にそう告げると、出口へ向かった。 奈緒は二人に向かてペコリとお辞儀をしてから、慌ててついて行く。 その時、後ろから「いってらっしゃーい」という声が聞こえた。 「秘書室は31階になります」 エレベーターの前に立った杉田は、奈緒にそう説明した。 するとすぐにエレベーターが到着する。 エレベーター内には、既に若者が二人乗っていた。 歳は20代半ばくらいで、二人ともジーンズにパーカースタイル、 髪は茶髪でリュックを背負っている。 二人のうち一人は片耳にピアスをしていた。 二人は杉田が乗って来た事に気付くと、挨拶をした。
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