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秘書室内には、低めの仕切りがあるデスクが三つ並んでいた。 それぞれの机には、小さな棚もついていて、使いやすそうだ。 三名の秘書が使う部屋にしては、かなり広い。 部屋に入ってすぐ右手には、 仕切りで区切られたキッチンコーナーがあった。 そこには、冷蔵庫や電子レンジ、コーヒーメーカーや電気ケトルが 並んでいる。 そして作り付けの食器棚には、食器類が揃っていた。 キッチンコーナーに近い壁際には、 丸いダイニングテーブルセットが置かれている。 奈緒は秘書室にこんなテーブルがあるとは知らなかった。 もしかしたら、この会社独特なのかもしれない。 そして窓際には、座り心地の良さそうなソファーセットがあり、 テレビも置かれている。 秘書室を見た奈緒は、 思わず感嘆のため息を漏らす。 『給湯室へ行かなくてもいいんだ...ここに全てが揃っていて凄いわ...』 奈緒は心の中でそう呟く。 実は奈緒は、昼食に弁当を作ってきていた。 前の会社では、屋上で食べる事が出来たし、 悪天候の時には、社員食堂で食べる事も出来た。 しかしこのビルは、屋上には出られないようになっていて、 社員食堂もない。 弁当を食べる場所と言えば、 自分のデスクか、 あとは一階まで降りて、外で公園のような場所を探さなければならなかった。 しかしこの雰囲気なら、ここで昼食を取っても大丈夫そうだ。
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