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その時、杉田が、
「ちょっと二人ともこっちに来てもらっていいかな?」
「「はい」」
それぞれの机で作業をしていた女性が二人、
杉田と奈緒の前にやって来た。
女性のうち一人は50歳くらいの女性。
そしてもう一人は、奈緒と同年代の女性だった。
どちらも笑顔を浮かべている。
「こちらが今日から秘書室に配属になった麻生奈緒さんです。彼女は省吾さんについてもらいます。麻生さんは今までサポート業務は経験済みですが、秘書として勤務するのは今回が初めてという事なので、二人ともイチから丁寧に教えてあげて下さい。よろしくお願いします」
杉田が言い終わると、奈緒は、
「麻生奈緒です。秘書としての仕事は初めてなので、色々とご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします」
そう言って深々とお辞儀をした。
すると、女性二人は笑顔でパチパチと拍手をしてくれた。
「初めまして! 秘書室長の後藤さおりと申します。秘書歴は約30年。歳は聞かないでね!(笑) 経験数だけは無駄にあるので、なんでも遠慮なく頼って下さいね!」
「秘書室へようこそ! 中森恵子です。多分、私麻生さんよりも2歳くらい上だと思います。えっと、私も秘書の仕事はここへ来て初めてだったの! 私はさおりさんみたいにベテランじゃないけれど、困ったら遠慮なくなんでも言ってくださいね!」
二人はそう言って微笑んだ。
「ありがとうございます」
奈緒はもう一度ペコリとお辞儀をした。
そこで、さおりが杉田に聞いた。
「省吾さん、戻りは明後日でしたよね?」
「うんそう。今日明日はいないから、のんびりでいいよ」
「承知しました!」
「じゃ、後の事よろしくね! 麻生さん、今日一日はさおりさんについて、なんとなーく仕事の流れを見て下さい。徐々にゆっくり覚えていけばいいからね」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ頑張ってね~!」
杉田は手をひらひらと振ると、笑顔のまま秘書室から出て行った。
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